ウズベクデイズ

ハム子です。中央省庁→IT企業→大学教員。ウズベキスタンでワーキングマザー。赴任前にウズの情報を探すのが大変だった経験から、ウズの生活、文化、アート、子育て情報を発信していきます。専門の法制度や経済についての情報発信、和訳などもしてきます。※当ブログの意見にわたる部分は完全に個人の意見です。掲載している文章・写真の無断転載はご遠慮ください。

セミナー「変革するウズベキスタン:機会とリスク」(7月10日開催)

ハム子です。

7月10日(火)に開催された、世界銀行セミナー「変革するウズベキスタン:機会とリスク」に参加してきました。

霞が関駅を出て日比谷公園沿いに歩いていった富国生命ビルに世界銀行東京事務所が入っていて、そこの比較的小さめの会議室でした。

 

当日の様子や講師プロフィールなどはこちらで公開されています。日本語と英語の同時通訳付きでしたが、講師の方はとても丁寧で分かりやすい英語でしたので、そのまま概ね理解できました。

 

セミナー「変革するウズベキスタン:機会とリスク」

 

以下、当日の様子を要旨にて記録します。

 

1.宮崎成人 世界銀行グループ 駐日特別代表

■ 変革する~とか変わりゆく~というタイトルはよくあるが、ウズベキスタンは正に『変革』という言葉が似合う国。WBとUNDPから同時に話を聞く機会はなかなかないので、今日は非常に貴重な機会。

 

2.近藤哲生 国連開発計画(UNDP) 駐日代表

■ ウズベキスタンは世界の安定にとって非常に重要な場所に位置する国。UNDPは現地の国連機関全ての調整をする役割を果たしている。

 

3.森 秀 樹 世界銀行 ヨーロッパ・中央アジア地域総局 ウズベキスタン担当カントリーマネージャー

■ 世界銀行が作成したウズベキスタンの動画を視聴。以下リンク参照。

http://www.worldbank.org/en/news/video/2018/06/26/voices-of-hope

■ 講演資料も公開されています。

http://pubdocs.worldbank.org/en/227161531199869217/071018-Uzbekistan-Seminar-Hideki-Mori.pdf

■ 講演内容

・独立後も経済政策はしばらくソ連時代の計画経済のまま、安定的な成長を続けてきたが、「スーパーサイクル」が落ち着くと、ひずみが生じてきた。

・仕事がない、資源の最適配分ができない。同国で吸収できる労働者は30万人くらいあだが、100万人の若者が失業してしまい、非常にやばい状態になった。

アフガニスタンなどと隣接しており、失業した若者が武装集団などに取り込まれてしまうと危険。そのため、仕事の創出が治安上も必要。しかし、従前の経済モデルではできなかった。

・それまで闇レートと公式レートの二つが存在しており、公式レートは一部の特権階級しか使えず、経済のひずみとなっていたが、レートを統一したことで、2016年から2017年にかけてGDPが増加した。

・2017年には外国為替を統一した。銀行のローンはドル建てだったが、事前に資金供給したため、混乱は起きなかった。

・貿易の自由化施策で、関税を下げた。これからWTOに加盟しようとしている。

・いろいろな省庁がバラバラに動いているのでコーディネーションが必要。税制改革、マーケットの創造。

・労働政策では、社会保障のシステム作りが重要。

・課題:改革が早すぎて何が起こっているのかわからないことも。副大臣などの要職も、1年で100人くらい交代した。法律も相互に整合性がなかったりする。

・期待:これから成長の可能性がある国。リスクはあるが。政府の人たちはとてもよく働く。意気込みは十分。

 

4.ヘレナ・フレイザー ウズベキスタン共和国国連常駐調整官 兼 国連開発計画(UNDP)常駐代表

■ 講演資料も公開されています。

 http://pubdocs.worldbank.org/en/383081531199867716/071018-Uzbekistan-Seminar-Helena-Fraser.pdf

 

■ 講演内容

・地理的には二重内陸国(double land locked)という特徴を持つ。

・人口3200万人。

・若くて教育された世代が60.5%と多い。

・様々な分野で改革が進行中。例えば司法改革ビジネスの投資を呼び込むこと、市民特に若い母親の裁判所へのアクセスなど。政府は人権への取り組みに積極的であり、国連人権高等弁務官からpositively recognizedされた唯一の国。

・国際社会に開かれており、国連、世銀などに加盟。

・リスクとしては、 エビデンスベースの意思決定をするためのデータと統計、重要課題ばかりの場合の優先順位、キャパビルと意識改革。

・挑戦なしには何も得られない(Nothing ventured, nothing gained)。

 

5.質疑応答

・調達、権力の分散や一帯一路への対応など質問は多岐に渡りましたが、私もせっかくいい機会なので質問してみました。

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Q ウズベキスタンでは、仮想通貨とブロックチェーンを導入するそうだが、これからデジタル経済に向けた取り組みを進めるということだと理解している。自分はこれから日本の憲法民法ウズベキスタンの学生に教える予定である。日本でもデジタル経済に向けてもがいているなか、その試行錯誤を伝えながら、ウズベキスタンならではの経済制度を作っていって欲しいというスタンスでいくべきかと思うが、なにかアドバイスあればありがたい。

 

A 森氏:うまく行かないことを伝えることが大事だと思う。こうすればうまくいくということを伝えることは難しい。日本はこうやったら失敗したという経験を話せばよい。現状をどう分析すれば良いか、一緒に考えていくことが大事だと思う。

フレイザー氏:数日前、ブロックチェーン大統領令にサインしたのは事実。政府としてブロックチェーンによるソリューションを採用するという意思を示したもの。ID、取引記録、認証システム、電力システムなどに用いるだろう。参考までにUNはブロックチェーンについて他国へのサポートもしている。

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失敗経験を話すことが重要なのかーと発見があり、大統領令のニュースが事実であることも確認でき、質問してよかったなあと思いました。

また、質問したことで会場への自己紹介にもなったのか、閉会後、何人かウズ関係者が話しかけてくださり、一気にウズ関係の知り合いが増えました!ラッキー!

アンテナを貼り、積極的に行動することが大事ですね。

これからもフットワーク軽くいきたいです。

(了)